(ヨハネス・フェルメール 『真珠の首飾りの少女』、1662年-65年、ベルリン国立美術館)
★ヨハネス・フェルメール 光の王国 展
JRタワー・プラニスホール、2015年12月4日(金)-2016年1月3日(日
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(WEBサイト→)http://www.re-create.gallery/
(WEBサイト→)http://msbrain.net/vermeer/
(WEBサイト→)http://www.re-create.gallery/vermeer2015/(公式HP)
ヨハネス・ フェルメールは、日本で相次いで展覧会が催されたこともあり、国内でも最も人気の高い芸術家のひとりです。そのフェルメール作と認識されている全37作品を、フェルメールが描いた当時の色彩を求め、原寸大で鮮やかに再現します。最新の印刷技術が可能にした、フェルメール絵画のだれも見たことがない展示をします。
フェルメールの「re-create」(複製画)作品のほかにも、17世紀オランダ・デルフトの社会や絵画事情、フェルメールが画家となった背景、フェルメールの画業を知る豊富な資料をわかりやすく展示。また、多くのフェルメール作品の舞台となった「画家のアトリエ」も原寸大で再現。作品『手紙を書く女と召使い』と同じ状況で記念写真も撮影いただけます。福岡伸一さんが本展のために書き下ろしたオリジナル・シナリオにより、まったく新しいフェルメールの世界を紡ぎ出します。
フェルメールの「re-create」(複製画)作品のほかにも、17世紀オランダ・デルフトの社会や絵画事情、フェルメールが画家となった背景、フェルメールの画業を知る豊富な資料をわかりやすく展示。また、多くのフェルメール作品の舞台となった「画家のアトリエ」も原寸大で再現。作品『手紙を書く女と召使い』と同じ状況で記念写真も撮影いただけます。福岡伸一さんが本展のために書き下ろしたオリジナル・シナリオにより、まったく新しいフェルメールの世界を紡ぎ出します。
『真珠の耳飾りの少女』のような美しい女性像や、庶民の生活を静かに描いた風俗画によって、日本にも多くのファンを持つ17世紀オランダの人気画家、ヨハネス・フェルメール。そんな彼の現存作品37点(一部、フェルメールの作か議論のある作品も含む)を一堂に会した展覧会『フェルメール 光の王国』展が、2012年より日本各地のスペースで順次開催されています。
「フェルメールの全作品が日本を巡回?」と疑問に思うのも無理はありません。実はこれ、キャンバスに印刷され、額装された「複製画」だけで構成された展覧会なのです。
このプロジェクトの発案者は、『生物と無生物のあいだ』(講談社、2007年)『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』(木楽舎、2009年)などの著作で知られる生物学者の福岡伸一さん。フェルメール作品を愛する彼のもとに集まった美術や印刷のスペシャリストが、幾度もの歴史・科学検証と最新の技術を通じて、約350年前の制作当時の作品の姿に迫った「本物を超える複製画」が本展の出品作です。彼らはそれを「リ・クリエイト(再創造)」と呼びます。果たして、フェルメール作品の「複製画だけの展覧会」には、どんな狙いがあるのでしょうか。そこには、「絵画を見ること」をめぐる興味深い問いが潜んでいました。
「私が初めてフェルメールの作品に触れたのは1988年の夏のこと。留学していたニューヨークで、フリック・コレクションにたまたま入ったところ、そこにほんもののフェルメールが3点もあったのだ。さりげなく飾られていた「兵士と笑う女」を見て、稲妻にうたれたような衝撃を受けた。これまで見たいかなる絵とも違っていた。そして、これまで見たどの絵よりも私を魅了した。隣には「稽古の中断」がそっとかけられていた。フェルメールの絵には、画家が声高に語る自己というものが何も感じられなかった。フェルメールは、世界を解釈しようとしていない。フェルメールは、世界を(こうあるべきと)裏書きしようともしていない。フェルメールは、ただ世界をあるがままに記述しようとしている。絵はどこまでも清明で、正確な奥行き感があり、そしてすべての細部に対して公平だった。窓から入る光は人物と部屋を柔らかく照らし、楽譜は音符まで読めそうだった。まるで写真みたいだ。私は思わずそうつぶやいていた。そしてとりもなおさずそれこそがフェルメールの特性だった。
フェルメールは、写真技術が生み出される以前のフォトグラファーである。彼の世界に対する公平な姿勢は、当時の私が目指そうとしていたこと、──生命現象をできるだけ解像度の高い言葉で、つまり遺伝子やタンパク質のレベルで記述すること──、とどこかで重なっているような気がした。
そこから私のフェルメール巡礼が始まった。フェルメールを求めて世界中を旅した。フェルメールを見れば見るほど、フリック・コレクションで感じた私の第一印象は確信に変わっていった。彼は画家というよりは、むしろひとつのことを究明するために全精力を傾注する科学者的なマインドの持ち主であったと。
彼の作品を一つや二つ見ただけではわからない。むしろ彼の作品を作成順に並べてみた時、より鮮明に浮かび上がってくるものがある。これが後年、最新のデジタル技術とプリンティング技術によって、フェルメール全作品を「リ・クリエイト」する試み、──描かれた当時の色彩と筆致をとりもどす──、それを一堂に展示して彼の全生涯を再体験する、というアイデアにつながった。
今回の展覧会では科学者としてのフェルメールの真の姿に迫ることをテーマに展示を行った。深読みフェルメールの果てはつきることがない。楽しんでいただければ幸いである。」福岡伸一(生物学者/館長・総合監修)
※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、JRタワー・プラニスホールさま(HP)よりお借りしております。本展は、百貨店で開催される展覧会ではありますが、作品の売却などはしないため、営利を目的としない展覧会と判断しました。合わせて、鑑賞料を別途徴収するなどの展覧形態も勘案し、ガイドラインに抵触しないとの判断をしたため、画像掲載を実施しております。
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