(古きよき時代の面影を残す、鴨々川に沿って建っています)
★鴨々堂(札幌市)
旧豊水小学校の近く、鴨々(かもかも)川の流れる園生橋あたりは、現在でもわずかに、かつての歓楽街(色街)だったころの面影が残っています。園生橋を右手に曲がると中島公園が見えてくるのですが、その手前に建つのが、古民家ギャラリー「鴨々堂」さん。
風情のある木造2階建てで、外壁は下見板張り。大正末期から昭和初期の建築と推定されています。かつては、見番(置屋と料亭の間をつなぐ事務所)だったのではといわれていますが、一説によると、お妾さんが住んでいた長屋の一部が残ったものとも。
古い1952年(昭和27年)の周辺地図を眺めてみると、現在も現役の「川甚」さんや、千両小路の由縁となった「千両」さんなど割烹がずらりと並び、懐かしい雰囲気。粋に着こなした芸者さんが、鴨々川のしだれ柳の下で夜風に吹かれている光景が目に浮かびますね。
店主の石川圭子さんは以前、設計事務所で古民家再生の仕事に携わっていました。その経験から、この希少な建物をぜひ残したいと、オーナーの吉見哲治さんに掛け合い、改修を請け負ったのだそうです。元は5軒長屋のひとつで、吉見さんの父親が借りて住んでいました。その後、大家が長屋4軒を売り、残りの1軒を吉見さんが買い取って、数年前まで母親が暮らしていたそうです。
ギャラリーは、大黒柱がユニークな1階の15坪。大きな窓から望む鴨々川と、しだれ柳のそよぐ眺めが素晴らしい。さらに絵画と書物を常設展示する「ぜいたくな書斎」も設置されました。「街の歴史を象徴するこの建物で、往年の空気に触れて欲しいですね」と石川さん。たたずむだけで、昔の札幌にタイムトリップできそうです。
↓いつも足しげく訪問していただき、ありがとうございます。きょう1クリック、よろしくお願いします。