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[建築物]★龍雲閣(静内御料牧場貴賓館)

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(二十間道路の最終地点に鎮座する龍雲閣。1年に1度だけ一般開放されます)

★龍雲閣(静内御料牧場貴賓館)
 静内二十間道路の終点に建つ、純和風の建物です。もともと、二十間道路は、開拓使によって1872年(明治5年)によって開設された御料牧場の視察のために造られた道路でした。それまでにも、御料馬の生産や軍馬の拠出も多く行っていた当牧場は、皇族や名士高官を迎える機会も多くあり、貴賓用客舎の要望が根強くありました。龍雲閣は、1908年(明治41年)、その御料牧場(現在の独立行政法人新冠牧場)に韓国皇太子がご臨場することになったため、その宿舎(貴賓舎)として建てられました。

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(もともと御料牧場という歴史もあり、皇族や政府高官の来訪が多くありました)

 宿舎(貴賓舎)という性格から、皇族を始め、多くの名士高官がご来場、滞在されました。大正・昭和の2代に亘る天皇陛下が、それぞれ皇太子時代に行啓されています。また、1987年(昭和62年)には、髭の殿下と親しまれてきた三笠宮智仁親王殿下、同妃殿下が訪問。2006年(平成18年)には、天皇皇后両陛下が訪れ記念植樹をされています。当初は「凌雲閣」と呼ばれていましたが、1922年(大正11年)当時主馬頭(しゅめのかみ)であった伊藤博邦が視察に訪れ、その折に書した「龍雲閣(りゅううんかく)」がこの建物の名称となりました。
 木造一部2階建て、延べ513平方メートルの優美な御殿造りの外観です。楼閣様式の2階建て主屋と、その横前方と後方に突き出た従屋から構成されています。正面玄関にあたる前方棟は古く、1899年(明治32年)に客室として建てられています。
 入母屋の大きな屋根が架かる主屋2階には縁廊下を廻し、その上下には裳階をめぐらせています。2階は御座所のある主階で、高欄越しに広大な牧場を眺望する趣向があったのでしょう。15畳の上の間(上段)と、12畳の次の間からなる御座所は、格天上の上の間(上段)正面に書院造の様式を取り入れ、たたみ床を並べ、飾り棚を配しています。主屋のみ平面寸法には京間が使われており、畳の寸法もひと回り大きくなっています。

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(こちらが玄関棟。建築は主屋よりも古く、1899年(明治32年)と言われています)

 1階奥の階下付属寝室棟4室なども、1972年(昭和47年)同牧場の起業100年を期に修復され、伊藤博邦公の揮毫額、狩野探幽の屏風、谷文晁の掛け軸、伊藤博文公揮毫額などを始め、皇族などの方々が使用された家具、馬具などの品々を展示する場所に改装されています。

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(狩野探幽による屏風画。そのほか、歴史的に貴重なものが収蔵されています)

 1972年(昭和47年)に行われた修復工事では、内外とも、できる限り64年前の状態に復元されましたが、大屋根については、当時の楢柾葺きに復することができないこと、また、今後の耐久性などの面から、銅板葺きとなりました。骨組みには、現在ではなかなか見ることのできない逸材を惜し気なく使っており、また、それらの組み方も一種独特の方法が用いられています。

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(修復された1階廊下。豪華絢爛というより、質素な印象が強いです)

 館内は、「しずない桜まつり」の期間のみ、一般開放されています。一年に一度の公開にしておくにはもったいない貴重な歴史的建築物です。

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