★暮尾 淳 「姉・加清純子の思い出」
北海道立文学館、2019年4月13日(土) 10:30
渡辺淳一の代表作『阿寒に果つ』(初版1973年)もヒロイン「時任順子」のモデルとして知られる加清純子(1933年-1952年)は、太平洋戦争後の日本社会の反権威世代(アプレゲール)で、デカダンでアヴァンギャルドに時代を駆け抜けた天才少女画家でした。
教育者の家庭に生まれ、中学生の頃から父親の児童雑誌『ひばり』にマンガを描き、才能の片りんを見せていました。第23回道展に15歳で入選、早熟な芸術家の道を歩みだします。札幌女子高校から学制改革で札幌南高校2年生に編入されると、同期生にはのちに作家となる荒巻義雄、渡辺淳一などがおり、彼らとの青春の日々が始まります。美術では前衛画家・菊地又男の指導を受け全道展、アンデパンダン女流画家協会展、自由美術協会展に出品、さらには個展を開催するなど活躍しました。文学では樫村幹夫、岡村春彦らと同人誌『青銅文学』の創刊に参加、表紙カットや挿絵を担当したほか、いくつもの小説や詩を執筆し、その感受性豊かな物語世界は大人たちを驚かせました。
しかし、1952年1月、赤いカーネーションを残して失踪、4月に阿寒山中で遺体となって発見されました。享年18。遭難死とも自殺とも言われていますが、その真相は明らかではありません。
昨年、実弟の暮尾淳さんら遺族によって加清純子の絵画15点が奇跡的に保管されていたことが判明しました。本展はこれらの作品を含め、美術と文学にわたる天才少女画家の魅力あふれる表現世界を一挙に紹介する初めての試みです。生き急いだ日々の光と影がたゆたうように、止むことのない青春の鼓動に耳を傾けます。
※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、北海道立文学館さま(HP)よりお借りしました。
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