★旧増毛小学校 校舎(増毛町)
増毛小学校の開校は1878年(明治11年)というから、北海道ではとても古い時代に属することになります。増毛小学校が移転建築されたのは、1936年(昭和11年)。戦前期の木造建築校舎としては、面積は最大級。左右対称の構造は非常に正確で、端正さすら感じさせます。増毛町を見下ろす坂の上に建つこの校舎は、増毛町民の誇りであったように思います。その貴重さは高く評価され、2001年(平成13年)には北海道遺産にも指定されました。長く現役の校舎として使われていました。
しかし時代の趨勢には勝てなかったようです。やはり古い校舎は使い勝手が悪く、2012年(平成24年)に移転されました。いつまでも現役であってほしいというのは町外の者が言う勝手な理屈で、住んでいる、在籍している皆さんにとっても苦渋の決断だったでしょう。現在でもしっかり管理されているのが救いです。
特筆されるのはその規模。中央に中庭を配し、周りをぐるりと木造2階建て校舎と体育館が囲んでいる形態です。最盛期には、946人もの児童を収容できる大規模なものでした。小規模な木造校舎は現在でも道内に散見されますが、これだけ大規模な木造校舎がほぼ建造当時のまま一体となって残っている事例はありません(ちなみに、筆者が通った小学校も、このような大規模な木造2階建ての校舎でした。現存していないので、懐かしかったです)。
玄関は正面、東、西と3つあり、なかでも中央入口には、1915年(大正4年)に制定されたという校章が掲げられています。外壁面の板は総下見板張り。130年の厳しい環境に耐えた風格が感じられます。
体育館は、外観からもその独特な構造がわかります。壁面の強化のための控え壁(バットレス)がそのひとつ。控え壁がずらりと並ぶ様は壮観です。窓から体育館内部を覗くと、屋根が木造トラスで支えられているのが見えました。
使われなくなったので、校舎前面に広がる旧グラウンド敷地は荒れてきていますが、それでも子どもたちの声が聞こえそうなほどに雰囲気を残していたのが印象的でした。(2014年10月、現状を確認)
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