室蘭八幡宮は1868年(明治元年)に函館八幡宮から御分霊を奉斎して、元室蘭(現在の崎守町)に創立されたのが始まりとされています。1873年(明治6年)には札幌通りが完成し、街の中心が新室蘭(現在の海岸町付近)に移るのに伴い、元室蘭にあった社殿を1874年(明治7年)新室蘭地区に移し、郷社としました。1895年(明治8年)にはトッカリムイ神社とベキリウタ神社の祭神保食神と琴平神が合祀されています。
遷座当時、造営のための寄付が集まらなくて苦悩していたところ、噴火湾にクジラが漂着したため、クジラの買い上げを北海道開拓使に願い出て造営費の不足分を賄ったため、通称「鯨八幡」とも呼ばれます。
1931年(昭和6年)に社殿を焼失したため、諸経費を市費と氏子からの寄付で賄い、本殿を完成させました。現在の本殿は当時のもの、1931年(昭和6年)の建築と推定されます。本殿は流造り、社殿は権現造り。入母屋造りの神楽殿、社務所、斎館が揃い、室蘭地域の総鎮守としての風格を漂わせています。1924年(大正13年)には県社に昇格。その後1945年(昭和20年)には9月15日付けで国社になることが内定していたそうです(蝦夷国一の宮付け。胆振国一の宮。しかしこれは、終戦をもって実現しませんでした)。
神社例大祭に奉納される室蘭神楽には、昭和の御大礼(即位の礼、大嘗祭)を記念して作られた全国でも類を見ないと言われるクジラが登場する神楽「鯨神の舞」があり、毎年8月の神社祭典で奉納されるそうです(新潟県三条市から伝播した三條神楽が伝承したもの。室蘭市指定民俗文化財)。
なお、境内には1911年(明治44年)に当時皇太子(東宮)だった大正天皇が参拝されお手植えをされた松が残されているほか、1922年(大正11年)に同じく皇太子(摂政宮)だった昭和天皇がお手植えしたイチイ(オンコ)の木も残っています。また、境内にあるソメイヨシノは、室蘭市のさくら標本木に指定されています。室蘭市は終戦前夜、北海道で唯一艦砲射撃を受けた都市としても有名ですが、その慰霊碑もこちらの境内に建っています。寺宝としては、艦砲射撃の時の砲弾などのほか、クジラの背に木造の神様を乗せた通称「八幡大神 木造」や、相撲絵馬(1869年(明治2年)に奉納されたと推定される)などがある。(2017年12月26日、現状を確認)
※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、ブログ運営者がみずから撮影したものです。
↓いつも足しげく訪問していただき、ありがとうございます。きょうも1クリック、よろしくお願いします。